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美しい手業

先日、学生時代からお世話になっている木地師さんを訪ねて山中へ出かけてきました。図面に引いた私の描いた線を形にしてくれるとても大切な方です。

工房はいつも挽いた木屑の山。伺った日はちょうど快晴で、陽の光にその木屑が柔らかく暖かく照らされ、とて優しい気持ちになれたのでした。

私達塗師はこうして木地を作ってもらい、そこに漆を塗っていきます。

木地師さんはその場合、縁の下の力持ち。

殆ど表に出る事はありませんが、轆轤を挽く様子はなんとも美しく、手業の魅力にうっとりします。

近頃では樹脂素材のものが巷に広く出回っている現状ですが、人間の手が紡ぎ出す可能性とそこから生まれるものの美しさをこの先もずっと見ていたいと思うと同時に私自身ももっともっと、と思うのでした。


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先日、福井県の鯖江にある漆屋さんへお邪魔してきました。 漆屋さんというのは「漆を売る人」です。 私たちのように漆を塗る人間がいるという事は、漆の木を育てそこから樹液を採取する人がいて、それを精製して販売してくれる人がいるという事なのですが、それがなかなかに深い世界で、普段は殆ど表舞台には現れない本当に縁の下で日々私達を支えてくれる、なくてはならない大事な存在なのです。 漆は化学。と漆を触る人は言い